「あれ?この子育ての悪循環、私の親との関係にそっくりかも!?」
そんな風に、自分の親との間に繰り返されてきた嫌なことを、自分の子どもにも無意識に繰り返してしまうことがあります。
自分ではそんなことはしたくないし、何とかこのパターンを変えたいんだけど、気づくとやってしまっている。
『子どもが好きに遊んでいるのだから好きに遊ばせたいのに、ついつい干渉してしまう』
『しつけで荒っぽいことを言いたくないのに、傷つけるような言葉が口から出てしまう』
『子どもの言い分もあるだろうに、頭の中がカッとなってしまって一方的に叱ってしまう』
そう言えば、自分も親のこんな部分は嫌だなと思っていたな・・。
こういうパターンが親から子へ、そしてまた次の世代の子へと連鎖していくことを、世代間伝達と言います。
この連鎖が出来てしまうと、自分の子どもが親になった時に、またその子どもにも同じことをしてしまい、悪循環が続いていきます。
どこかで手を打たない限り、この連鎖は解けません。
しかし、なかなか意識的な努力では解決が難しいという事実があります。
何故なら、これは脳の深い部分(大脳辺縁系や脳幹)が反応している状態と考えられており、ここは意識でのコントロールが非常に難しいからです(もちろん、ご自身の努力で乗り越えていかれる方もいらっしゃると思います)。
カウンセリングではこの連鎖を解いていくために、様々な心理療法を援用して、過去のトラウマや辛かった体験を乗り越えるお手伝いをさせていただいたり、今の関係性の中で出来ることを模索していったりします。
「あんなにやって欲しくなかったことを、自分がやってしまうなんて」
「なんて自分はダメな人間なんだ」
「親として失格だ」
そんな風に思わないでください。
まずは傷ついている自分をケアしてあげる所から、新しい一歩が始まります。
臨床心理士という立場でカウンセラーをしていて、また自分も子どもを育てる中で、特にお役に立ちたいと思っているテーマの一つが、この『世代間伝達を断ち切る』ということです。
少しでも早く良い方向に状況が変わっていくよう願いながら、臨床に向き合っている日々です。