久々のブログの記事。
どんなことを書くと、読んでいただいた方の役に立つのかな~と思って。
心理療法のこととか、疾患のこととか、色々な心理学的な知識などを書くことも出来るけど、実際のところ、〇〇セラピーとか、〇〇メソッドとか、今はネットや書籍などで情報が溢れているので、そうした知識にアクセスしようと思えば、断片的な情報には比較的簡単に行きつくことが出来る。
なので、ここでそういうことを書いても、あまり意味がないし。
その一方で、当オフィスには、「EMDRを受けたいです」、「ソマティック・エクスペリエンスを受けたいです」「催眠に興味があって」、「トラウマをケアしたい」などのニーズで来られる方も多く、中には本当によく調べて、勉強して、専門家でも驚くくらいの知識を持ってこられる方も、まれにいらっしゃます。
でも一般的には、『カウンセリングって何なのか』とか、『どうしたら症状が良くなるのか』とか、肝心なところ、本質的なところを教えてくれる情報ってあまりなくて、『〇〇すれば絶対痩せる』『ガンは〇〇したら治る』みたいな認識になっていることが多い。
そして、カウンセリングと言っても、カウンセラーによってやり方は違うし、検索して色々とHPを調べてみても、それぞれの違いがそもそもよく分からなかったり。
著作も沢山あるような名の知れたカウンセラーさんのとこに行ったら傷ついた、とかも聞くし。
医療機関を長年受診されている方も来られたりしますが、「主治医の先生から、どうすると良くなっていくか説明を受けていますか?」と聞くと、ほとんどの方は、「うーん・・」とか「いや、特には・・」と答えます。
もちろん、薬の効果の説明はあると思いますし(ないことも実際にあったりするけど・・)、「よく眠りましょう」とか「考えにとらわれ過ぎないように」などのアドバイスを受けていることもありますが、でもこれは『どうしたら良くなるのか』に答えてはいません。
そして、何らかの専門家にサポートを受けている方は、それでも頼れる所があるので、薬を処方してもらったり、話を聴いてもらったり出来ますが、まだどこにも繋がれていない方の場合、もう迷子です。
カウンセリングはそういった状況の人のお役にも立てるのですが、カウンセラーの中には、「どうなると良くなるのですか?」という問いに答えられない方もいるみたいで。
こんなことを考えていて、そうか、良くなるってどういうことなのか、大切なことをちゃんと書いてみたら良いのかも、と思いました。ネットや書籍には書かれていない、本当のことについて。
ということで、カウンセリングって役に立つのかなと疑問を持っている方、カウンセリングを受けた経験はあるけれど効果がよく分からなかったという方(要はカウンセラーがすべってるわけですが)、支援者という立場の人に相談したら逆に苦しくなった方、などなどの人達のために、良くなるカウンセリングで何が起きているのか、を出来るだけ分かりやすく書いてみようと思います。
まず、心理学等の発展により、近年特に良い心理療法がどんどん開発されています。
これはとても良いことで、クライエントさんの利益になりますし、カウンセラーもより良いスキルを手にする切っ掛けを得ることができます。
新しいものが全て良い、というわけではないですが、少なくともより良いものを提供できる状況が出来てきているのは良いことですね。
自分も新しいものを学ばなければと思って、何年もお金も沢山かけて学んできました。
開業する時(2016年11月)には、自分なりに自信を持って臨んだわけです。
で、上手くいくこともあれば、当たり前ですが、上手くいかないこともあって。
そしてその度に、また必要なことを学んで。
延々とそれを繰り返して、レベルアップしなければ、と常に上を向いて。
でもね、ある時思うわけです。
これって、本当にレベルアップしてるのか?と。
気になっていた頃、あるカウンセリングについてのデータを(また聞きにですが)知りました。
それは、『カウンセリングが波に乗るまでの実情』。
カウンセリングを1回だけ受けて気持ちの整理をしたり、方向性の整理が出来ればいいな、と思っている場合は除いて、基本的には、その人の辛さには何が影響しているのか見立てて、それを受けてカウンセリングの方針を立てて、少しずつ改善をしていく、というのが流れです(もちろん、1回で良くなればどんなに良いことか、とは思いますが、そんなミラクルなことは起きません)。
ですので、何回という回数は明確に出来なくても、ある程度の回数が必要と言えます。
でも、お金を払って来ていただくのに、的が外れたことをしてしまうと、必要な回数を継続してもらえません。そう、改善する前に、途中でカウンセリングをやめてしまわれます。
これは当たり前ですね。
ラーメン頼んだら、思ってたのより不味かったり、想定外のうどんが出てきたら、「ん?」と思いますよね。
だから、ちゃんとその人に合ったプロセスを説明し、納得してもらって、かつ効果も出し続けていく。これによってカウンセリングは継続し、ゴールに向かっていくことができます。
で、データですが、その本質は、ずばり『カウンセリングの継続率』。
データの概要はこんな感じです。
初回カウンセリングに来ていただいた人が、2回目も来てくれるのは6割。
そして、2回目来てくれた人が、3回目も来てくれる割合は、またその6割。
つまり、0.6×0.6=0.36⇒カウンセリングを3回目まで来てくれる人の割合は、わずか36%。これが平均的な(?)カウンセリングの継続率ということみたいです。
データはここまでです。
なので、4回目以降がどうなのかははっきりしません。仮に4回目に来てくれる人の割合も6割だったとすると、0.36×0.6=0,216⇒4回目の継続率は22%くらい・・。
ま、4回目は仮の話なので、脇に置いておきますが、一先ず3回もカウンセリングを受ければ、そのカウンセリングを受けることで良い方向に行きそうかどうかの手ごたえが分かる、ということは言えるのかなと。
イマイチだなとか、ダメだなこのカウンセラー、と思ったら、そりゃ辞めますよね。
そして、このことから見えてくるのは、3回目までにカウンセリングを辞めてしまった64%の人達が、カウンセリングをどう評価しているか。
多分、『役に立たないな』とか『カウンセリングなんてこんなものか』と思ったことでしょう。そして、次のカウンセラーを探してくれればまだいいですが、そこで諦めてしまったら・・。
カウンセリングに限らないですが、良いな、と思う店に出会ったら、次も行く。ダメだな、と思ったら行かない。当たり前の事実。ここをカウンセラーも正面から向き合う必要がある。
ふむふむ、と思って、開業1年目の自分はどうだったか、ドキドキしながら、3回目までの継続率を計算してみました。
結果は・・・
70%。
おお。
ちょっとホッとしつつ、まだ改善の余地があったんだなと思いました。
開業してからも毎年毎年色んなことを学んで、レベルアップして、知識も増えたのだから、その後はもっと継続率は上がっているだろう。
さてさて、どのくらい上がったかな?
そう思って、これを知った5年目の時、継続率を計算してみました。
その結果・・・
70%。
どーん。何てこと!?
変わってないじゃん。偶然にも程がある。全く同じって・・。
あれだけ勉強したのに、知識も付けたはずなのに。結果が伴っていない。
筋トレ沢山やって、体重も増えたはずなのにホームランが増えない野球選手のよう・・。
何でだ!?何かがおかしい。
本当に役に立つカウンセリングを提供するには、ただ心理療法を学んだり、知識を身に付ければ良いんじゃなくて、何か違う要素があるのでは・・。そんなの、誰も教えてくれなかったぞ・・。
そう気づいてしまって、僕はこれまでとは違う臨床を模索し始めました。
もちろん、これまで学んだことをベースにしながらですが、今、目の前にいる人の役に立つことを考えて、トライアルアンドエラーを繰り返しました。
そして1年後。
開業から6年目の継続率は・・・
91%。
おお!上がった(喜)!!
うん、間違っていない。この方向性。
そして、やっと(汗)、このブログの記事の本題。
良くなるカウンセリングでは何が起きているのか。
大事な要素を書いていくと・・・
①傷ついている人を更に傷つけない
当たり前だろ、と突っ込まれそうですが、正しいカウンセリング、正しい心理療法、っていうのをやろうとすると、クライエントさんを置き去りにします。
時には、大学や研修で学んだこととズレてしまっているとしても、クライエントさんに寄り添う。この勇気が、カウンセリングの場で出せるかどうか。
世界中がこの人を見捨てたとしても、自分だけは見捨てない、と思えるかどうか。ここが優しさを生みます。これが出来なくて、カウンセラーの価値なんかないですよね。
②その人の強みを見つける
支援者という立場にいると、つい問題を探して、それを解決しようとしてしまう。もちろん、良かれと思って。それが必要なタイミングの人もいますので、そういう時は全力で問題解決に向かいます。
でも、本当に大切なのは、問題が起こったとしてもそれを乗り越える力を付けることです。心の中にそれを創っていくことです。
そのためのツールとして、〇〇療法が適切なことはありますが、〇〇療法が大切なのではありません。
大切なのは、その人が持っている強みを引き出すこと。仮に、もし今は強みがなかったとしても、とにかく畑に種を植える。そして、水をかけて根が出て、芽が出て。
そうしていけば、必ず、上へ上と伸び、葉が開き、花が咲き、実を結びます。問題がゼロになるなんてありえません。でも、強みを創って立ち向かうことは、無限に出来ます。
③カウンセラーのあり方(世界観)がクライエントさんに伝播する
クライエントさんを良い方向に導いてあげたいとして、カウンセラーのあり方が未熟だと、そこまでしか導いてあげられません。
カウンセリングが上手く行かない時に、厳しい言葉をいただくこともあります。その時に、『そうだな』と思って、受け止める力。時には凹んでしまうこともありますが、そうなっても、そこから持ち直す力。
自分で自分を癒すことを知っているカウンセラーでなければ、人のことは癒せません。辛い状況を癒した経験がなければ、人は救えません。未来への希望を語れないカウンセラーでは、誰かを導けません。道を切り開いていないカウンセラーでは、誰かにアドバイスは出来ません。泥にまみれたことがあるから、その渦中にいる気持ちが分かるんです(もちろん、カウンセリング中に直接は言いませんが)。
クライエントさんが抱えているものが沢山あるなら、それを抱えられるだけの器がカウンセラーには必要で。クライエントさんの人生のペースに歩調を優しく合わせ、更にクライエントさんの心の荷物を一緒に抱える。
時には、カウンセラーが歩いている背中を見てもらう。そうして感じてもらう。必要なことを。
④学問の枠を超えてサポートする
これは以前のブログでも書いたことですが、大切なことは心理学の中にだけあるのではありません。これまでカウンセラーが学ばなかった分野の中に大切なことが隠れていたり、カウンセリングに広がりを持たせるようなことがあったり。
これまでのカウンセリングの常識とは違う、誰もやったことがないことをすると、必ず後ろ指を指す人がいます。でも、本質が認められる未来は必ずやってくる。必ず。
今の位置に満足したら、そこまで。
何年後か、何十年後かはちょっと分かりませんが、多分、話を聞いて相談に乗るという意味での『カウンセラー』という職業は衰退していきます(誤解のないように書いておくと、その一方で、心理士(師)という専門職へのニーズはどんどん増え、仕事の種類・活躍する分野は広がっていくと思います)。
その代わり、『治療者』のような、ちゃんと治せる(直せる)職業が出てきます。それが良いかどうかは置いておいて、職業の名前は何でも良いので、躊躇なく学問の枠を超える人が増えてくると良いなと思います(余談ですが、ちゃんと治せる・直せるカウンセラー養成講座の発想はここから来ています)。
何だか書いていて、熱くなってきた(笑)。
⑤脳と身体の働きを調整する
全ての心理療法やカウンセリングは、ここに行き着きます。臨床心理士・公認心理師なので、治療という言葉は使えないのですが、でも、感覚的には治療しているんです。心の中で思うだけで、直接言わないですけど。
まずは、自律神経系の調整力をどう創っていくか。人として生きていくベースは、脳の中でも脳幹という深い部分です。ここが心臓を動かし、呼吸をし、食べ物を消化し、身体を回復させ、人を安心させる。崇高なアドバイスなんか必要ない。ここにアクセスし、日々生きていく上での工夫を一緒に検討する。
子どもが泣いているとして、優しくそばに居続けてあげると、いつしか泣き止む。大人の心も本当は同じ。
そうして、そうしてもらった経験が積み重なって、優しさを学び、誰かにしてあげることが出来るようになる。それが自己治癒力を形作って、誰かに繋がっていく。癒しの連鎖の始まり。
⑥傷ついた子どもの自分をケアする
そして、その次は、自分の中の色んな自分(自我状態とか、パーツなど言うこともあります)のケアをしていく。治りたい(直りたい)のに抵抗する自分、頼りたいのに助けの手を突っぱねてしまう自分、本当は泣きたいのに歯を食いしばる自分、本当はお父さんやお母さんに助けてもらいたかったのにそれが出来なかった自分。
傷ついた子どもの部分が大人の心の中に残っていて、人生の足を引っ張る。
どうせ分かってもらえない、信じても裏切られるにきまっている、自分なんか価値がない、服従している方が楽だ、などの形で現れることもある。
たまたま周りに心ある人達がいて、トラブルがあっても助けてもらって、ぎりぎり綱渡りで生きている人。
会社の幹部とか何かの先生とか、立場のある役職にいるので、イライラをぶつけたり、感情的に揺れても、そういうものとして周りに受け入れてもらっている人。
それでも本人の心の内は、とても苦しい。何をどうすれば良くなっていくのか、迷子になっている。
自分で自分を褒めればいい?認めてあげればいい?
いやいやいや、それは酷だよ。
子どもは誰かに褒めてもらって、認められて、初めて自分を受け入れられるようになるんです。
信じることが怖い?
うん、そうだね。
だから、その根っこを癒すんです。
そうして、これまで知らなかった優しい新しい世界が生まれていく。
カウンセリングオフィス心葉は、今年の11月で8年目を迎えます。
あの時の自分の場所から、随分と遠くまで来たような。
かと思えば、いやいや、まだまだでしょ、と思う自分もいて。
進化?進歩?
んー、言い方は何でもいい。
とにかく、人を癒して、人生の次のステップに繋がって、そうしてそれが世の中を良くしていくことに繋がったらならば、本望かな。
先に継続率は91%と書いたけど、そう、まだまだだよね。
この先、100%になる日が来るかどうか分からないけど、そういうとこを目指していることを誰かが理解してくれなかったとしても、僕はこの道を行く。
世の中は凄いスピードで変わっていく、それに伴って人も変わっていく。
だけど、人が求めていることの本質は変わらない。そこを見据えて、人が人をケア出来る世界を創っていく。
そう、まだ誰も見たことがない世界を。
少し前に心葉さんにお世話になっていたものです。
良くなるカウンセリングでは何が起こっているのか。
心葉さんに行っている時は、こういうことが起こっていたのか〜(先生がおこしてくれていたのか)と、なんだかすとんと自分の中に落ちました。
もともと私は催眠療法がが受けたくて心葉さんに行きました。
先生と話しながら進めてもらう中で催眠療法は取り入れていただいたのですが、たしかに「催眠療法」だけで状態がよくなったわけではないなあと改めて感じました。
これ以上私の傷つきを深くしないように細心の注意を払ってかかわっていただいていた感じ、振り返ればいつも自分の強みを確認できていたこと、催眠療法や心理的なことだけでなくて体や脳のことも含めて説明をしてもらって、自分に何が起こっているのかわかって、それだけでも随分楽になったこと、自分の中で消化しきれていなかった思いや辛さや癒してほしい、大切にしてほしいという思いが満たされていたこと。
そして、毎回、先生のあり方も、見ていて、勇気や生きている力や安心感をもらっていました。
ブログに書いてあることが全部カウンセリングの中にあったな〜と思います。
今思えば、カウンセリングの中で先生も今回のブログのようなことをちゃんと説明しながら進めてくださっていたのですが、正直、最初のうちは、早く催眠療法にならないかな?と焦っている時期もありました。
でも、すべての過程が良くなるために必要なことだったんだなと改めて納得できたし、土台みたいなものが無い中でいきなり催眠療法をやってもらっも、上部だけの満たされ感(日常にもどったらまた元の状態に戻りそうな感じというか…)だったんじゃないかなと思います。
自分のことをひとりの人として慎重に取り扱っていただいたこと、本当にありがたく思っています。
人は、そうやって、ひとりの人として慎重にかかわってもらう経験だけでも、ずいぶんちがうんじゃないかなと思いました。
心葉さんのカウンセリングが、悩まれている多くの人に届きますように。
>夏色シャーベットさん
コメントありがとうございます。
普段、クライエントさんからカウンセリングで体感されたことをお聞きする機会があまりないため、こうしてカウンセリング過程を振り返って書いてくださると、僕自身もとても嬉しいし、凄く励みになります。
いつも正解を知っているわけではないですし、その時々で必要なことは何だろうか、と考えながらカウンセリングをしているのですが、その人の歩みを大切にする、という視点でいることを心がけています。
その中で、催眠療法のような心理療法が適切であれば、トライしてもらいますし、本質的に必要がなければ、別のステップで進んでいきます。
しばしば、カウンセリングに申し込む時には勇気が必要だった、という話を聞きます。『カウンセリングって料金が高くて・・』と二の足を踏んだり、『本当に効果があるのか?』との不安が湧いたり。
ここに対して、誠実に対応するのが専門職の役割だと思っていますし、日々の研鑽は欠かせません。クライエントさんに「セルフケアとして、○○しましょうね」と言いながら、自分がやってない、とかはあり得ないですし。
ブログの本文にも書きましたが、僕自身がまだ道の途中にいると思っています。まだまだ知らないことが沢山あって、人を支えていくために必要なことをもっと身に付けていく必要があって。
自分のキャパシティもあるので、それを超えるような数のカウンセリングは出来ませんが、縁があって来てくださる方々に、カウンセリングにかけたお金以上のリターンを感じてもらえるようなあり方を、今後も探求していきます。
そうして、日常に戻ったクライエントさんが社会で活躍したり、家族を幸せにしたり、夢をかなえたりして、縁が繋がって、世の中に幸せが増えていったら、とても嬉しいなと思います。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!
カウンセリングを受けようか迷っています。
でも、これを見たら、ちょっと本気で受けてみてもいいかもと思いました。
もう傷つきたくない。
>メカ男さん
コメントありがとうございます。
カウンセリングを受けようか、迷っておられるのですね。
どこに行けばいいのか、色々なカウンセリングルームのHPを見ても、違いがそもそもよく分らなかったり。
HPの情報は断片的なものですので、実際は体験してみないと本当のところは分かりません。
『もう傷つきたくない』という思い。
これまでの経緯が様々あったことと思います。
カウンセラーによって、カウンセリングの質は変わります。同じカウンセリングルームでも、何人かカウンセラーがいたら、それぞれのカウンセリングは別物になります。
自分に合ったカウンセラーを見つけるためには、他と比較したり(具体的には、研修歴や実践している心理療法の部分でしょうか)、評判を参考にしたり(第3者がどう判断しているか)、ということも大切かも知れません。
その上で、心葉を選んでいただけたなら、とても嬉しいです。
ご無理なくご検討くださいね。
カウンセリングで「良くなっている」感覚は、長いあいだ、よく分かりませんでした。
私の場合は、ストレスを遮断するのが癖になっていたので、悪い感覚とも良い感覚とも、接続回路が切れてしまっているような状態で、よく分からなかったのです。
仮に、心の傷を、重傷と軽傷に分けるとします。
私は重傷だったのですが、回路が切れているので、自分が重傷だと分かりませんでした。
もし、これが眼に見える外科的な重傷だったら、筋トレやリハビリは、誰も絶対に勧めないと思います。重傷者に必要なのは、救急対応と休息以外にないと、誰でも知っているからです。
でも、恐ろしいことに、心の傷は眼に見えないので、それをしてしまうのです。重傷が判別できない人間は、心の重傷者に、筋トレ的な厳しい言葉を投げかけ続けます。もっとやれるはず、他の人はできているのに、違う方法を探せ、どうしてできない、ちゃんとしなさい、自己責任、甘えている等々。
当の私自身が、自分に向かって、重傷とも知らず、ずっと筋トレを勧めていました。基本的に「優しさ」がありませんでした。「厳しさ」しかありませんでした。それが普通でした。でも、緊急で必要だったのは「優しさ」でした。
最初に行った別の臨床心理士にも、気にしすぎだとか、反論するならそのままでいれば?だとか、心無い言葉を吐かれました。そこにも、私を傷つける「厳しさ」と、そのカウンセラーが思う「正しさ」しかありませんでした。
重傷者に厳しくするのはただの暴力ですが、専門家に否定された自分を自分でも責め続けて、私の状態は悪化しました。
そんなときに、心葉さんだけが、「あ、重傷ですね」と気づいて、救急対応と休息を勧めてくれました。
本当に、あっさり。
強みを育てて、心の地力をつけるにしても、状態が安定してからでないと無理だと、見極めてくださいました。
お陰で私は、良くなりつつあります。
自分の本当の感覚を、取り戻しつつあります。
変化の最中はよく分かりませんでしたが、結果的に人生が大きく変わる変化になりそうです。
個人的に、カウンセリングに通うにあたって、一番怖いのは、見立ての間違い、医療でいう誤診だと思います。
最初の臨床心理士のようなカウンセリングでも、軽傷なら良くなることもあるかもしれませんが、重傷のまま通い続けると、心はボロボロになります。
この高級な資格を持っているのだから、この先生は正しいのだと、心が疲れていれば疲れているほど、妄信する可能性があります。
ただでさえ心がしんどいので、新しくカウンセラーを探し直すのが、面倒な気持ちは、非常に分かります。けれども、違和感を感じる本音を押し殺して、これは効いている、良くなっていると信じ込もうとするのは、本当にお勧めできません。
とはいっても、最初に言ったように、心の接続回路が切れていたり、重傷だったりすると、感受性がうまく動かないので、相手を見極められず、日常生活でも困ることが多いほどです。
そんな状態で、カウンセラーの人柄や経験、技術力をどう見極めるのか。
そういう意味でも、心葉さんが教えてくださったポイントは、すごく貴重だと思います。
私は、カウンセリングを受けるクライエントの目線で、6つのポイントを以下のように受け止めました。
① 傷ついている私を、更に傷つけて来ないか?持論に寄り添った「正しさ」ではなく、私に寄り添った「優しさ」があるか?
② 私の強みを見つけてくれようとしているか?
③ カウンセラーのあり方(世界観)が、私にまで伝播すると思ってくれているか?カウンセラー自身は外野で棚上げされていて、私のあり方(世界観)ばかりが、批判の的になっていないか?
④ 学問の枠を超えてサポートしてくれるか?目の前の私の「個別具体的な事情」より、そのカウンセラーの得意とする「学問・流派・メソッド等」が優先されていないか?
⑤ 脳と身体の働きを調整してくれているか?
⑥ 傷ついた子どもの自分をケアしてくれているか?健康な大人と付き合うレベルの日常的な共感や優しさではなくて、傷ついた子どもを見捨てないレベルの技術的な「優しさ」を与えてくれているか?
ちなみに、良くならなかったカウンセラーは、全問×でした。
この6つのポイントを、見極めるなんて難しいと感じることもあると思います。かなり重傷なら、新しいことは何一つできないほど、しんどいことがありえます。もし、そうなったら、一個だけ。
「カウンセラーから敬意を感じるか?」だけでもいいと思います。
心葉さんにとっては、当たり前すぎて、書かれていないのかもしれませんが、私にとってはかなり重要でした。
医療もそうですが、カウンセリングも、助ける/助けられるという、パワーバランスが生まれやすい関係性です。そうなると、どうしても、助ける側に、上から目線が生まれやすくなります。手術や薬の処方なら、それでもいいかもしれません。
でも、カウンセリングの根幹は「対話」です。
人と人としての対等な関係。
相手への敬意と、謙譲と、あたたかな興味関心。
それがない場所では「対話」は成立しません。
よくて「会話」止まり、下手をすると「傾聴と雑談」になってしまいます。
その場の空気に敬意があったなら、プロの技術に支えられた「優しさ」がそこにあります。
心の傷があると、「優しさ」を大量に必要とします。
でも、心の傷を親や友達に癒してもらおうとすると、途中でうんざりされてしまうように、普通の人の天然の「優しさ」は簡単に枯渇してしまいます。
だから、「優しさ」を持ち続けるための知識と技術を持つ、プロのカウンセラーが必要なのだと思っています。
この体験談が、どなたかのご参考になれば幸いです。
>Sさん
とても丁寧なコメント、本当にありがとうございます。
心に響きました。率直に感動しています(涙腺が緩みました)。
カウンセラーの仕事の大切なことの一つとして、ただただ『優しさ』を誰かに届ける、ということがあります。
でも、人が必要としている『優しさ』はそれぞれで、別の人が求めている『優しさ』とは違ったりして、カウンセラーの押しつけの『優しさ』にならないように気を付ける必要があります。
心の傷が重症ならば、その場所で一緒にそれを感じて、必要なことは何かと考えると、「あ、休んだ方がいいな」とか「早く傷口のケアをしないと」と気づきます。
ところが、専門知識が増えて、技術も高まってきて、先生と呼ばれる頻度が多くなってくるほど、ここがブレる。いつの間にか、クライエントさんの目線から外れて、カウンセラーの自我の目線に飲まれてしまう。そうして傷つけてしまう・・。
なんていうことは、大学では教わってこなかったし、臨床の現場に出てからも、そういうあり方のような話って聞いたことがない。
自分も含めてなんですが、カウンセラーも人間で、どこまで行っても未熟な面はあって、だからこそ自分を戒めたり、磨いていく必要がある。
Sさんが書いてくださった、『カウンセラーから敬意を感じるか?』という言葉。
普段、意識的には考えていませんでしたが、僕のあり方がそのようになっているとしたら、素直にとても嬉しくて。でも、同時に氣が引き締まるというか。
カウンセラーは、時に人の人生を左右するような影響をもたらすことが出来る立場になりえますが、でも同時に壊す力を持つ存在にもなりえます。
アクセルがあれば、ブレーキがあるように。
その両方を適切に使うから、安全に進むことが出来る。
Sさんが書いてくださった体験は、きっと多くの人の心に届くと思いますし、支援する立場にいる人たちの心にも強く響くはずです。
コメントいただいて、僕自身の学びも更に深まりました。
本当にありがとうございます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
今まで何人かのカウンセラーと対話して来ましたが、そこで感じたのは人を木だとしたら「傷んだ葉を見てそこに防虫剤をまく」良くて「土を掘って根っこが腐っていないか見る」という事でした。
しかし、稲吉先生は土壌改善をしている気がします。
山奥にハイキングに行った事がありますが、山奥の木は強くて葉っぱが虫に食べられている事が少ないです。
ところが、元々農業地(静岡だとお茶畑)だった場所で後継ぎが居らず荒れ放題になっている場所は葉っぱが虫に食べられたり傷んだりしています。用は農薬で撒いてしまった土地は良い植物が育ちません。
土は、ずっと繋がっているかもしれません。
「稲吉先生が土壌改善をした場所から、皆の心という土まで改善される」
そんな取り組みをしているように思いました。
>やましたさん
コメントありがとうございます。
とても嬉しいです。
書いてくださった『土壌を改善しようとしている』というのは、自分でも悪戦苦闘しながら、徐々にそこに辿り着いてきたな、ということを感じます(まだまだ道半ばですけど)。
一人の人が良くなっていくということは、他の誰かにも良い影響が広がっていく、ということでもあって。それはカウンセリングの場のみで起こることではなく、人と人との繋がりの中でなら、本来はどこでも起きるもの。
僕自身が出来ることには限界があって、力量が足りないこともあります。
カウンセラーという立場の中で、何が出来るだろうか。その可能性を精一杯考える。
そして、カウンセラーという立場で出来ないことがあるとするならば、その壁の前で嘆くのではなく、僕は切り開く。もしかすると、誰かがこの歩みを馬鹿にしてくるかもしれない。それでも僕はあきらめない。
そうやって歩んだ道の跡に、土壌が生まれているのなら、とても幸せなことだと思います。
人と人がより良く繋がって、この世の中が本当に良くなっていくといいな、と感じます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
2020年ごろ、PTSDでお世話になっていた佐藤です。
最近子育てと仕事が忙しくてなんだか疲れていたところ、ふと先生のことを思い出してブログを拝見しにきました。
当時の自分を重ねながら読み、ああ、本当にいい先生に出会えてよかったなあと涙が溢れてきました。
技術的なことはわかりませんが、先生の②強みを見つける、にはかなり救われたと感じます。
問題を見つけようと話されてしまうと、期待された答えを出さなきゃと焦ってしまって、感情と言葉が一致せずに言葉が滑ってしまうのですが、先生はただただ私に関心を持っていてくれただけだったので、落ち着いてカウンセリングを受けることができました。
歳を重ねるごとに、人は顔立ちではなく顔つきだなと実感しますが、先生の第一印象は「こんな優しい顔つきの人がいるのか!」と驚いてしまうほどだったことを思い出します。
先生のカウンセリングのおかげで、かなり精神的にも安定し、多少のストレス等でブレなくなりました。
通っていた頃は、不思議と5人くらいから精神的に参ってて、という話しを聞くことが重なり先生をお勧めすることもありましたが、今ではそんな気配もありません。
おもしろいですね。
当時先生が、心のメンテナンスでたまにきたりする人もいますよとおっしゃっていたので、また先生に会いたくなったら予約をとらせてください。
ブログはとても面白いので、また読みにきます。このブログを励みにこどもをいっぱい愛しながら私も引き続き頑張っていこうと思います。
>佐藤さん
ご無沙汰しております。
コメントありがとうございます。
とても嬉しいです!
その後、お子さんも産まれたのですね。
お仕事と育児と、忙しくて、なかなか息つく暇もない日々かもしれませんね。
自分の気持ちが整理されてくると、周りの人間関係や関わり方が不思議と変わってきて、良い循環になる。
本当にそうですね。
私自身も、課題を乗り越えるたび、常々そう感じています。
カウンセリングのフィードバック、本当にありがとうございます。
もうね、こちらこそ涙が出ました(泣・笑)。
ブログを読んでもらえるだけで嬉しいですし、コメントもしていただけて、感無量です。
上手くいくことばかりではないのですが、慢心せずに、これからもより良いカウンセリングを心がけていきたいと思います。
一旦カウンセリングを終了した方の中には、その後も時折ご連絡をいただいて、心のメンテナンスをされる方もいらっしゃいます。
人生のステージが変わったり、想定外のことが起きたり。
平坦な人生はありませんので、また必要に応じ、いつでもご連絡くださいね。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。